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再生医療安全性確保法は、治療の副作用などによる死亡や入院を「重篤な有害事象」として国への報告を義務化。iPS細胞の臨床研究での報告は国内初。
異常がみられたのは、網膜が傷んで失明の恐れのある「滲出型加齢黄斑変性」の70代男性。昨年6月、同病院で左目に他人のiPS細胞から作った網膜色素上皮細胞を含む溶液を注入する移植手術を受けた。10月ごろから網膜前膜や腫れが見られ、今月15日に膜を取り除く手術を行った。
移植手術の際、針を刺した穴から溶液の一部が漏れ出し、この時の細胞が膜を作った可能性があるという。移植した細胞は網膜の内側に定着し、視力の低下もないという。
高橋リーダーは「重篤な有害事象に当たるが、患者の症状に影響はなく、拒絶反応にも問題はない」と説明。執刀した同病院の栗本康夫眼科部長は「手術法に問題があったとみられ、一般的な治療法にするため、より良い方法を検討したい」と話した。
滲出型加齢黄斑変性の患者を対象にした今回の臨床研究は、同病院と理研、大阪大病院、京大iPS細胞研究所(山中伸弥所長)が実施。昨年3~10月、計5人に移植した。(山路 進)