徳島視整体研究所

当店では「見る」ことから目の使い方を整え、身体の健康の維持や改善のアプローチをしています。1級眼鏡作製技能士

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進歩する白内障手術
ライフスタイルで眼内レンズ選択

加齢に伴って起きる目の病気が白内障だ。カメラのレンズに当たるのが、水晶体。加齢などが原因で水晶体が白く濁る。若くてもけがをしたり、糖尿病で発症したりすることもある。白内障の治療に関するセミナーが10月中旬、東京都内で開かれ、最新の手術法などが紹介された。

最新の白内障手術=東京歯科大学水道橋病院のビッセン宮島弘子教授 提供

 多くの手術を手掛けてきた東京歯科大学水道橋病院眼科のビッセン宮島弘子教授は「白内障のリスクは50歳をすぎてから高まる。60代になると、細かく調べると、どこかに白内障の症状が見つかる。もっと、年齢が進み80代になれば、ほぼすべての人に白内障の症状が表れる。ただ、手術しなければならないケースは症状の進行度による」と話した。

 ◇患者の負担を軽減

 白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、人工水晶体(眼内レンズ)を挿入する。眼内レンズは直径9ミリ。厚さ4・5ミリで、1円玉硬貨の半分くらいに当たる。濁った水晶体を小さく砕いて吸引。眼内レンズをたたんで挿入し、眼球内で広げる。患者への負担が少なく、多くの医療機関では手術後、入院せずに日帰りする。事務的な仕事であれば、翌日から再開できるという。

白内障の眼球。混濁がある=東京歯科大学水道橋病院のビッセン宮島弘子教授 提供

 手術の時の麻酔はかつてのような注射によるものではなく、点眼麻酔なので痛みが少ない。傷口は2ミリ程度で切開部を縫い合わせる必要がなく、回復も早い。近視、遠視、乱視も矯正できる。老眼鏡やコンタクトレンズの必要性がなくなる。

3焦点の眼内レンズ=日本アルコン提供

 ◇レンズは単焦点と多焦点

 最新の白内障手術はメスを用いず、「フェムトセカンドレーザー」と呼ばれるレーザーで行う。手術前に検査室で眼球の各部位を測定し、水晶体を摘出した状態を想定して度数を測定。手術室では実際に、水晶体を摘出した状態でレンズ度数などを計測する。

 眼内レンズには大きく分けて単焦点レンズと多焦点の二つの種類がある。単焦点は1カ所に焦点(ピント)が合う。保険が適用されるが、焦点が合わない距離では眼鏡が必要になる。例えば、遠くに焦点を合わせた場合は老眼鏡が必要だ。これに対し、多焦点レンズは複数の箇所でピントが合う。単焦点レンズでも近視や遠視を矯正する効果があるが、多焦点レンズはこれに加えて老眼の矯正も可能で、眼鏡は必要なくなる。ただ、保険の適用外だという点に注意したい。




◇遠く、中間、近くに対応

 多焦点レンズはこれまでは2焦点だったが、10月下旬に3焦点レンズが国内で初めて発売された。宮島教授によれば、治験では5メートルの「遠方」、60センチの「中間」、40センチの「近方」の3段階で両眼による視力が1・0だったという。遠方は遠くの景色が見え、中間は例えばテレビの画面を見たり、読書をしたりすることができる。近方はパソコンの画面が見やすい。一方、2焦点レンズでは中間が見えにくかった。

 3焦点レンズにも欠点がないわけではない。「グレア・ハロー」といい、強い光をまぶしく感じたり、光の周辺に輪がかかって見えたりすることがある。また、光のコントラストの感度が低下することもある。

 宮島教授は「事前に患者に説明する必要がある」と指摘。コンタクトレンズや眼鏡のない生活を希望して3焦点レンズを入れ、グレアハローなどがあったが「日常生活に不便は感じなかった」と言う60代後半の女性の例を紹介した。

 ◇日常生活での優先度

 宮島教授は「日常生活で、どのあたりが見えたらよいか、という患者の希望が大切だ」とした上で、「三つの距離がすべてクリアに見えなければならない、というわけではない。単焦点レンズで眼鏡を使ってもよいだろう。患者のライフスタイルの観点から考えてほしい」とアドバイスした。(鈴木豊)

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